「UNIVERSE25」という実験をご存知でしょうか。
私はつい最近知ったのですが、その実験で起こった事と、今の我々の社会がたどり着く先がかなり似てるなと思ったのでちょっとご紹介します。
この「UNIVERSE25」という実験の内容ですが、アメリカの動物行動学者であるジョン・カルフーンという人が行ったもので、
ネズミにとって生きていくのに理想的な環境を与えると、その後のネズミ社会がどうなっていくのかという実験です。
ネズミが自由に行き来できる4つの部屋を用意して、そこに各部屋8匹ずつのネズミを放す。
ネズミにとって広さも申し分ない空間を用意して餌も水も十分に与えて観察したわけです。
当然ネズミですからあっと言うまに増えたそうなんですが、半年後には600匹を超える数にまで増えたと。
で、どうなったかというと、数が増えていく過程でまず大人のオス達が争いを始めました。
誰がボスなのかを決める争いです。やがて争いは収束し、ネズミ社会に階層が生まれました。
勝者は広い居住スペースを確保し、メスを囲い子孫も繁栄する。いわば貴族階級です。
一方敗者は狭いスペースに押し込められストレスフルな環境で、メスに対する繁殖行動も場当たり的となる。
貴族階級のメス達は特定のオスの遺伝子を受け継ぎ子育てもしっかり行う良き母となりました。
翻って下層階級のメス達はいわば不特定多数のオス達の性の対象となり、
産み落とした子供についてもまともに子育てをしようとせず、結果的に下層階級のメスが産んだ子供の死亡率は96%に達したそうです。
貴族階級の方は50%だったそうですので、かなり開きがあります。
そうして更に色々なタイプの層が出来ていったのですが、ここでは詳しくは触れません。
そうして何とネズミの中に「ひきこもり」が誕生します。
他のネズミたちと交わろうとせず、争いも避け、ただ同じ場所で餌だけ食べて何もせずに過ごすネズミ。
この引きこもりネズミは他のネズミからも相手にされず、メスにも興味を示しません。
餌も水も十分に与えられ病気さえもコントロールされたネズミにとってユートピアと言える環境の中で、
一時的に大繁栄し、そして階級社会となりそれが更に進むと下層階級の親は子育てをしなくなり、
やがて引きこもりが生まれ、若いネズミは繁殖行動をしなくなり、
更には、オス同士での交尾行動が頻繁に見られるようになったそうです。
つまり現代的な言い方をすればトランスジェンダーが増えたと…。
そうして最後には一匹残らず絶滅してしまったんです。
ジョン・カルフーンはこの実験を何と25回も繰り返しました。
それが実験の名前の由来にもなっているのですが、
25回繰り返したこの実験は、全て同じ結果で終わっています。
このネズミ社会がたどった道筋が、今の人間社会と妙にシンクロして見えるのは決して考えすぎではないと思います。
我々人間社会に残された時間があとどの程度あるのか。
それは当事者である人間には分かりようがないですが、少なくとも明るい未来が待っているとは思えない世の中になってきましたね。
さてさて、何はともあれ美味しいご飯があればそれで幸せ。すてきな一日に乾杯。
◎鶏から
◎小松菜と京揚げの和え物
◎枝豆