核家族と家庭料理

私は本業の傍ら、調理師としてお年寄りの施設へ料理を作りに行っています。私が働かせていただいている施設はサービス付き高齢者住宅と呼ばれるタイプの施設で、月々の家賃を支払ってお年寄りが暮らす施設です。比較的健康で自立した生活の出来るお年寄りが主に暮らしています。そこで働きながらいつも思う事は、「核家族でなければこの人達はここに来なかったよな」という事です。寝たきりだとか常時付き添っての介護が必要な人ではないので、お互いが合意して住む場所さえあれば同居生活の可能なお年寄り達です。
核家族というのは若い頃は気楽で良いのですが、自分の親が歳を取って一人暮らしをさせておくのが心配になってきた時に一気に問題が発生します。まぁそんなことは何も私がこのブログで言わなくても散々あちこちで語られていますのでここではこの程度にしますが、なぜこんな事を書き始めたかといいますと、核家族では代々受け継いできた伝統が途切れてしまうとなぁと実感するからです。
これは料理についても言える事で、その家に古くから伝わる料理などは核家族ではなかなか受け継がれません。
自分の事を例に出します。私の母がよく作ってくれた料理に、紫蘇の実を炊いたものがあります。紫蘇は田舎では雑草みたいにそこら辺にどっさり生えている草でしたから、田舎ではどの家庭でもそうした料理を作っていました。母が作るその料理は、あまり濃い味付けにせず、紫蘇のさわやかな風味を少し残しながら、ご飯のお供にもなる美味しい料理でした。私は男ですし、18歳で実家を出てしまいその後都会で家族を持ちましたので当然そのレシピは教わっていません。
母は割と早くに亡くなりましたので、随分その料理を食べていなかったのですが、あるとき母の妹にあたる叔母がその料理を作って食べさせてくれた事がありました。
その時、一口食べてあまりにも母と同じ味付けだったことに驚いてしまいました。まるで母が生き返って作ってくれたような錯覚を覚えるほどでした。
それまで全く考えたこともなかったのですが、その時に「ああ、この料理は祖母が母達に伝えた料理だったんだ」と知りました。
核家族化は今では当たり前の形となり、今後大家族に戻ることなどないような気がします。当然、その家に伝わる家庭料理などは伝わりにくくなります。
その代わりなのでしょうか。今ではネットのレシピ検索がその役割を担っているのかもしれません。

さてさて、何はともあれ美味しいご飯があればそれで幸せ。すてきな一日に乾杯。

◎ハタハタの煮付け
◎青梗菜の胡麻和え
◎豆腐のカニかま餡

 

 


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