思い出の狸汁

小学生の頃の思い出話です。季節はよく覚えていません。遊びに来ていた叔父が車で帰っていきました。夜の8時頃だったかと思います。すると帰ったはずの叔父が戻ってきました。しかも狸を一匹ぶら下げて戻ってきたんです。叔父によると急に飛び出してきて車で轢いてしまったと。かわいそうですがすでに死んでいました。それでその狸を同居していた私の祖父に見せて「どうする?」と聞くんです。祖父は狸をじっと見て「食べよう」と言いました。
都会で暮らす現代人にはすでにそういった感覚は失われていますが、私の育った山間の寒村では、当時まだ自給自足の感覚が当たり前の様にありました。目の前に飛び出してきた狸は天からの授かり物なわけです。祖父は早速叔父に指示を出しました。その指示というのが、狸はダニが多いからすぐに料理するとダニが出てきて大変だと。それでダニを掃除するために川の水に二日ほど浸けておけと言ったように思います。このあたりの記憶はちょっと曖昧なのですが、狸をそのまま川の水にさらせと言ったことは間違いありません。その期間が二日だったのか一日だったのかそれとももっと長かったのか、そこの記憶はちょっと曖昧です。とにかく川の流水で清められた狸くんは祖父が自ら捌いてめでたく食卓に上ることになりました。味付けは味噌味で、ニンニクや生姜を効かせた濃厚な味だったのを覚えています。肉の味はかなりクセのある味だったと思いますが、はっきりとは思い出せません。でも家族みんな美味しくいただいた記憶はあります。大人になり社会人になり更に調理師になったおりに同僚に狸汁の話しを何度かしましたが、誰も実際に狸を食べたことがある調理師はいませんでした。田舎暮らしのなんと豊かなことよと今では思います。

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