菊一堂の話し_その4

今回は菊一堂時代のエピソードです。菊一堂で働いていた頃、世間はバブルでとにかく景気のいい話しばかりが聞こえてきました。そういう世相の時というのは暴力団関係の方々が活躍する時代でもあるんですね。その時私は岸和田(だんじり祭で有名)から富田林(高校野球のPL学園の本拠地)を経て箕面のお店に副店長として赴任していました。大阪府箕面市というのは大阪の中では北の端に位置するのどかな町で面積のほとんどが山林で、少ない住宅街には大阪のお金持ちが多く暮らすちょっとセレブな町でもあります。
例えば漫才師の西川きよしさんの豪邸があったり、タレントの上沼恵美子さんの自宅も箕面市です。今は亡きミヤコ蝶々さんの自宅も箕面市にあって今では一般に公開されています。そんな町ですから、高級志向の菊一堂のコンセプトにバッチリあう地域でした。売上も好調で、年間2億円弱の売上がありました。
で、ある平日の朝です。いつも通り朝9時半頃出勤して、早出のスタッフに挨拶をしてそのまま店長室で本部からのファックスなどをチェックしていました。
お店のオープンは朝10時で、この日店長は休みでした。(当時の店長は出勤してもほとんど店にいませんでしたので同じ事ですが)
平日のルーチンは出勤後1時間ほどは事務仕事をこなし、お客様の状況を見ながら手が足りないと判断すれば現場に入って働き、暇なら現場を離れ管理業務や営業活動に精を出すといった感じでした。
その日は暇だったので、ゆったりと店長室で日経流通新聞を読んでいたのを覚えています。そんなまったりとした空気を引き裂くように、突然バタバタバタっと店長室にスタッフが飛び込んできました。飛び込んで来たのはベテラン女性社員のOさんでした。もう聞くまでもない様な怖い顔で「副店長、暴力団や。」と言うんですね。それだけでは何のことか分かりませんのでよくよく聞いてみましたら、一人で珈琲を飲みに来たやばい感じのお客さんが、珈琲に砂糖を入れたら、その中にガラスの破片が入っていて唇を切ったと言っていると。それで責任者を呼べと言っているとの事でした。グラニュー糖のポットの中にガラスの破片が混入することは考えにくいので、これは間違いなくいちゃもんを付けられているなというのは分かりました。
時間帯はオープンすぐのほとんどお客様のいない時間帯です。何かしら暴力を振るわれるとしても衆人監視の中では難しいと思いますが、お客様がまばらな状態ではプロの暴力団は上手にやってくるだろうと想像できました。これはまずいことになったなと思いましたが、確かに責任者は私ですので出ていかないわけにはいきません。それでOさんに「状況見ながら、まずいと思ったら警察に電話して下さい。」とお願いして意を決して出て行きました。
私が挨拶に行くと、すぐにその男は下唇を指でめくって「ほら、血が出てるやろ。」と言いました。そうして次にコースターの上を指さして「これや。これがはいっとったんや。」と……。よく見ると2ミリくらいのガラスの破片がコースターの上に置かれていました。
一目であり得ないなと思いましたがとにかく一般のお客様相手と同じように謝るしか有りません。しかし相手は最初から難癖を付けてお金にすることを目的に来ているわけですから、そんなお詫びはまったく通用しません。
しばらく謝らせたあとで、ゆっくり立ち上がり私の肩をだいて「ちょっと歩こうや」と言うんですね。当然こっちは歩きたくないので、身を固くしてお詫びを繰り返します。しかし向こうはそういった事のプロです。私の耳に口を付けて、小さな声でささやくんです。
「兄ちゃんみたいなんゴソゴソするの簡単なんやで。」と…。いまだにそのゴソゴソがどういう意味のゴソゴソなのか分かりかねるのですが、とにかくその時の私を震え上がらせるには十分なささやきでした。
そのまま肩を抱かれて一緒に歩くことになり、店を出て結果的に地下の駐車場まで連れて行かれました。
駐車場までの道のりをゆっくりゆっくり肩を抱かれながら歩いたのですが、その間ずっと耳元で囁き続けるんですね。「子供はおるんか」とか、「利き腕はどっちや」とか(全部大阪弁です)。それでそうした脅し文句の合間に、唇の怪我の件はどうするつもりやと聞くわけです。
お金を頂戴と言っているのは分かるのですが、私は単なる現場の責任者なのでお金の話しで言質を取られるのはまずいだろうなという判断は働きました。
それでひたすらのらりくらりとした応対に終始せざるを得ませんでした。とうとう相手も痺れを切らして本社の電話番号を教えたら後の話はそっちですると言い出しました。私にしたら「よっしゃ!」です。すぐに電話番号を教えてお引き取り願いました。
もちろんその後すぐに本社に電話していきさつを話し対策をお願いしたのは言うまでもありません。
長くなるので、とりあえず今日の話はここまでにしておきます。
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2 thoughts on “菊一堂の話し_その4”

  1. はじめまして。
    幼少期によく箕面の現ブックオフがあるお店に連れて行ってもらいました。
    白身魚のムニエルが好きでよく頼んでたのうっすらと覚えています。
    もし可能でしたら再現できるようなレシピを教えて頂けないでしょうか?

    1. コメントありがとうございます。バタバタしていてコメントの承認が遅れてしまいました。申し訳ありません。箕面店にこられてたのでしたらお会いしていたかもしれませんね。
      白身魚のムニエルですが、私がいた頃は魚は舌平目を使っていました。それを普通に小麦粉を付けてムニエルにするのですが、ソースはバターをゆっくり溶かして白ワインで繋いだバターソースに少し生クリームをプラスしてリッチな味に仕立てていたと思います。レストランなので生クリームも使っていましたが、ご家庭ではバターと白ワインとレモン汁だけのシンプルなもので充分美味しく出来ると思いますよ。

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