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私は普段介護施設の厨房でも働いていますので、自分の休みと世間の休日が重なることはそんなに多くないのですが、先日たまたま日曜日に介護施設の仕事が休みで、本業のDTPの仕事もなく、めったにない完全休養日となりました。それで朝からぼーっとテレビを見ていたのですが、NHKのドキュメント番組で、九州の精神科の病院のドキュメントをやっていました。
内容はといいますと、もう病も癒えていつでも退院出来る状態になっているのに、世間の偏見や身内の理解が得られず退院出来ない状況とそれに対する病院の取り組みを紹介する番組でした。
ところでこうした精神科の病院に一度入院してしまうと、多くの場合人生のほとんどをその病院で過ごすことになってしまう現実があることをご存じでしょうか。症状が落ち着くまでに時間がかかるという事が勿論あるのですが、それ以外にも迎え入れる家族の問題だったり仕事や住居の問題だったり色々な問題が合わさって結局病院以外に行くところが無い人が沢山いらっしゃいます。
私も調理の仕事でそうした病院の厨房を少しだけお手伝いした事があるのですが、入院歴10年なんていうのは短い方で20年や30年という方がいっぱいいらっしゃると聞きました。私がお手伝いした病院はいわゆる「閉鎖病棟」と言われる病棟しかなく、患者さんの自由が制限されていましたので余計に気の毒に感じました。
ただ、全ての病院が患者さんを閉鎖病棟に閉じ込めているわけではなくて、日中は自由に患者さんが病院を出入りできるようにしている病院もあるようです。
実は私が暮らす大阪の箕面市という場所は、古くから精神疾患を治療する施設の多い場所でして、かつて私が働いた菊一堂箕面店の近くにも結構大きな施設がありました。その施設の患者さんだったのかどうかは不明なのですが、恐らく統合失調症や双極性障害を患っていらっしゃるであろう方が、よくお客様として来店して下さいました。中でもかなりユニークで印象的なお客様がひとりいらっしゃいまして、今でもよく思い出しますので、今日はその方の事を少し書きたいと思います。
このかた、当時30代半ばくらいの女性で、最初の頃は二人連れで来られていたのですが、気に入って頂けたのかそのうち一人でもちょくちょく来店されるようになりました。お食事をされることもあれば、喫茶メニューだけの事もあり色々だったのですが、特徴的だったのはオーダーに時間がかかる事と、ほぼ毎回オリジナルメニューをご自分で考えていてそれをオーダーされることでした。オリジナルのメニューを頼むわけですから、アルバイトやパートさんではどうして良いか判断がつかず、結局いつも私がオーダーを取りに行ってました。
オリジナルといってもメニューに載せてないだけですぐに作れるような物も多かったですので、いつもお作りしてお出ししていたのですが、あるときのオーダーはかなり個性的で、あれから30年近くたった今でも覚えているメニューがあります。
それは「パセリのボイル」です。それも大皿に大盛りで。
まず、オーダーを聞きに行きましたら「今日はパセリを下さい。」とおっしゃいました。それでパセリをどういたしますかとお聞きしましたら「茹でて下さい。それでドレッシングをたっぷり掛けて大皿に盛り付けて下さい。」とおっしゃるんです。
私はちょっと不安になりまして、「パセリだけをボイルすればよろしいのでしょうか?」とお聞きしました。そうしましたら、当然だという表情で「パセリだけを大皿で。」と…。勿論、お客様のご要望ですからその通りに大量のパセリをボイルしてドレッシングと一緒にお出ししたのですが、きれいに残すこと無く食べて下さいました。
随分あとになってからふと思ったのですが、もしかしたらこのお客様、病気になる前は料理関係か食品関係の仕事をされていたのかもしれないなと。
それで毎回色々考えてオーダーして下さったのかなと。今となっては確かめようもありませんが、思い出深いお客様でした。
さてさて、何はともあれ美味しいご飯があればそれで幸せ。すてきな一日に乾杯。
◎天ぷら(野菜のかき揚げ、キビナゴ、鰯、舞茸etc)
◎小芋と厚揚げの煮物
◎ワカメスープ
学生時代に約3年間、箕面の菊一堂でバイトをしていました。地元のちょっと高級なレストランで、働いていることが誇らしかったです。
大好きだったパン、スイーツアソート、カシスのアイスクリーム(食後のデザートで提供してたかな?)等色々思い出しました。
無くなってしまって、本当に残念です。
ひめ様。コメントをいただきありがとうございます。
そうですか。3年もいらっしゃったんですか。でしたら私の事もご存じかもしれませんね。
菊一堂がなくなったのは本当に残念です。今思い出しても良い商品が沢山ありました。
ボンビバーという焼き菓子などは菊一堂の全くのオリジナルでしたからもう何処でも買うことが出来ません。銘菓だったと思いますが残念です。
またそのうち菊一堂関連の記事も書こうと思っていますのでよろしければ時々ご訪問下さい。
管理人