菊一堂の話し_その6「思い出のお客様」


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私が菊一堂金剛店にいたときの話しです。このお店は大阪府の南東部、南河内地域の富田林市にありました。
元々は大阪の山奥の田舎町といった場所でしたが、バブル当時は宅地開発が盛んでそうした新興住宅地の住人目当てに色々なお店がオープンしていました。
菊一堂もそうしたお店の一つで、当時は随分繁盛していました。
そのお店には、ほぼ毎週日曜日の午後2時頃に予約を入れて下さる常連のお客様がいました。
ご夫婦お二人で来店されるのですが、奥様が恐らく脳出血系の病気の後遺症で半身麻痺状態。
車いすで来られるのですが、当時は今のようにバリアフリー設計で建物が出来ていませんから普通では店に入れません。
そこでまずご主人が我々スタッフを呼びに来られます。
それで我々が車いすを両側から持ち上げて店内までお運びするのが常でした。
このご夫妻、いつも頼まれるメニューが決まっていまして、必ずサーロインステーキとビールなんです。
奥様は片手が使えませんからステーキをカットすることが出来ません。
それでご主人が全部一口サイズにカットしてあげていました。
ビールも主に病気の奥さんの方が飲まれていて、ご主人はひたすら介助に徹していらっしゃいました。
当時は私もまだ20代でしたが、ご主人偉いなぁ〜と思うと同時に自分には出来そうも無いなと思っていました。
50を過ぎた今でも時々あのご夫婦の事を思い出します。
そしてやっぱり自分に出来るかなと考えてしまいます。
幸いかみさんは元気そのものなので、今のところその心配はなさそうですが。

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